後遺障害11級|労働能力損失率20%の健常者とは言えない状態

   

後遺障害の第11級は、労働能力損失率が20%です。介護の必要がない等級認定は1級から14級まであり、この数字が低ければ低いほど重い後遺障害になるので、11級という数字だけ見るとそれほど重い後遺障害には見えません。しかし、労働能力損失率が20%もあれば健常者とは言えません。それにも関わらずちょっとした判断違いで泣き寝入りせざるを得ないこともあるため、場合によっては専門家への相談も検討すべき等級となっています。

 後遺障害11級

後遺障害11級は下記のように、損害を負った部位ごとに1号から10号が割り当てられています。

  • 後遺障害11級1号 両眼の眼球に著しい調節機能障害、または運動障害を残した
  • 後遺障害11級2号 両眼のまぶたに著しい運動障害を残した
  • 後遺障害11級3号 片目のまぶたに著しい欠損を残した
  • 後遺障害11級4号 10歯以上に歯科補綴を加えた
  • 後遺障害11級5号 両耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することが出来ない
  • 後遺障害11級6号 片耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することが出来ない
  • 後遺障害11級7号 脊柱に奇形を残した
  • 後遺障害11級8号 片手の人差し指、中指、または薬指を失った
  • 後遺障害11級9号 片足の第1の足指を含み、2以上の足指が機能しなくなった
  • 後遺障害11級10号 腹胸部臓器に障害を残し、労務の遂行に相当な支障がある

 眼球の調節機能に関わるのが第11級1号

交通事故が原因となり、視力が低下するのではなく、眼球の調節機能に障害が残ると第11級1号が認定されることになります。ここでいう眼球の調節機能とは、いわゆるピントを合わせることで、具体的には下記のような障害が残った場合を指しています。

  • 遠近を見る際の目のピントを合わせる機能が2分の1以下になった
  • 頭を固定した際の注視野(眼だけで終える範囲)が2分の1以下になった

 まぶたに運動障害や欠損があれば第11級2・3号

交通事故によって負ったまぶたの運動障害や欠損は、後遺障害第11級2・3号になります。

ここでいう運動障害とは神経に負ったダメージなどが原因で、まぶたのコントロールが効かなくなった状態を指しています。具体的には以下のような場合です。

  • 自身ではまぶたを開けているつもりなのに、瞳孔が隠れるほどしかまぶたが開いてない
  • 自身ではまぶたを閉じているつもりなのに、まぶたが閉じず瞳孔や角膜が露出している
  • まばたきがうまく出来なくなった

これらは、動眼神経麻痺・眼瞼外傷・外転神経麻痺と呼ばれる病名です。

次に、交通事故によって片目のまぶたの全部や大部分を失った結果、眼を閉じても目を覆いきれなくなった場合は第11級3号です。なお、両目がこの状態になれば第9級4号になります。

 10本の歯を無くしてしまうと第11級4号

交通事故でなくても歯が折れてしまうことはありますが、事故の衝撃によって10本もの歯を無くしたり、大きな損傷を受けたりした場合、後遺障害第11級4号が認定されます。

等級認定表上は、「歯科補綴」という表現をしていますが、補綴というのは簡単に言えば手を加えること、つまり歯科治療のことを指しています。ここでいう歯科治療はブリッジやクラウンも当然含まれますので、結果として普通に食べ物は噛めることがほとんどです。しかし、この治療が10本もの歯に及んでいた場合は後遺障害として十分認定されるということ。

ただし、ブリッジをかけるために治療をした歯は、交通事故で損傷したわけではなく、10本には含まれないため注意が必要です。さらに永久歯に限られることも覚えておきましょう。

 聴力についての後遺障害があると第11級5・6号

交通事故が原因となり、聴力に以下の後遺障害が残ると第11級5・6号となります。

第11級5号は、両耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することが出来ない状態を指しますが、ここでいう小声とは純音聴力レベル(ピーという単純な音の検査)が40dB以上のことです。

次に第11級6号は、片耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することが出来ない状態を指し、純音聴力レベルでいうと片耳が70dB~80dB未満となっています。

いずれも医師による検査が必要なため、耳に異常を感じた場合はすぐに耳鼻科へ行きましょう。

 脊椎に変形が残ると第11級7号

交通事故で脊椎に大きなダメージを受けた結果、変形が残ってしまうと後遺障害第11級7号が認められます。具体的には以下のような状態です。

  • レントゲンやCTなどで明らかに背骨が縦に潰れているとわかる状態
  • 脊椎固定手術が施され、人工関節が埋め込まれた状態
  • 3箇所以上、脊椎に「椎弓切除術」が施された状態

なお、ここではあくまでも変形してはいるものの運動障害や神経麻痺などがない場合です。これらがある場合はさらに上の等級認定(第6級5号や第8級2号)になります。

 四肢の指部分に関する後遺障害は第11級8・9号

交通事故によって、四肢の指に以下のような後遺障害が残ると第11級8・9号となります。

第11級8号は、片手の人差し指、中指、薬指のうち1本を失った状態を指すのですが、等級認定表上の失うとは、親指以外の第2関節より先を切断した状態のことです。

次に第11級9号は、親指に3本の指が機能しなくなった状態を上限としていて、全部が対象になる場合は等級が上がることになります。通常の等級認定表では「用を廃した」と表現し、具体的には以下のような状態を指しています。

  • 指の長さが半分以下になった状態
  • 親指の第1関節、その他の指は第2関節より先の可動域が2分の1以下になった状態

なお、後遺障害等級認定では利き手足の区別はありませんので注意しましょう。

 仕事に支障が出るほどの障害が内臓に残ると第11級10号

後遺障害第11級の労働損失率は20%なので、健常者と比べると80%程度しか労働力がないことになりますが、腹胸部臓器に障害を残した場合は、一応は健常者と同等の労働能力があることが前提となっています。仕事への支障の程度次第でさらに等級が上がることになっています。

なお、ここでいう内臓とは頭部や手足を除く、身体部分の内臓全体の障害を指すことも覚えておきましょう。つまり、交通事故によって心臓や肺、肝臓や腸に障害を残せば認定される可能性が十分にあるということ。ただし、内臓部分の障害は症状固定のタイミングが難しく、症状固定後に悪化したなんてこともありますので、しっかりと専門医の指示と診断を受け、自身でも細かく病状をメモしておくのが賢明です。

 後遺障害第11級の限度額は331万円

後遺障害第11級の自賠責保険の保証限度額は331万円となっており、第10級と比べると130万円ほども下がります。といっても、これはあくまでも自賠責保険の上限でしかありません。弁護士基準では最高で2000万円以上が認められたケースもあるほどです。

ただ、この等級あたりになると、医師の判断次第で等級認定自体が認められないケースもあり、手続きは慎重に進める必要があります。場合によっては専門家に依頼するなどして、適正な金額での賠償がされるようサポートしてもらってください。

 - 後遺障害の各等級