被害者の味方!損害賠償額の確定前でも請求できる「仮渡金」制度
自賠責保険には仮渡金という制度があります。
仮渡金制度とは、簡単に言えば、損害賠償額が確定する前であっても、支払われると予想される範囲内に限り、自賠責保険会社に対して請求できる制度を言います。これをうまく使えば、当面の生活費や医療費をそこから捻出できるため、まさに被害者のための制度と言えます。
今回は、この仮渡金制度について詳しくご説明していきます。
被害者請求についての基礎知識
まず、仮渡金制度について説明する前に、前提となる被害者請求についても知っておきましょう。
交通事故に遭った被害者は、加害者に対して損害賠償請求できるのですが、加害者に経済的余裕がない場合などは、自賠責保険会社に対して損害賠償請求を求めることができます。これが、いわゆる被害者請求です。ただし、被害者請求したからといって、すぐに賠償金の支払いがされるわけではなく、示談や和解、裁判といった手続きを経て損害賠償金が確定してからでないと支払いがされることはないのです。まずはこれを前提知識として頭に入れておきましょう。
仮渡金で当面の資金難から解放される
いくら被害者請求をしてもすぐに損害賠償金が支払われないのであれば、交通事故の怪我が重く、仕事にまともに出ることができないとしたら、当然ながら資金面で不安が残ってしまいます。
生活費も治療費も自分で持ち出さなければならなのです。誰もが交通事故に遭ったときに備えて貯蓄をしているわけではありません。
そこで、こういった場合に仮渡金制度を利用することによって資金確保ができるというわけです。上限額は決まっていますが、被害者にはありがたい制度と言えるでしょう。
仮渡金の上限額について
なお、仮渡金の上限額は下記のとおり定められています。
- 死亡者1人につき290万円
- 以下の障害を受けた者1人につき40万円
脊柱の骨折で脊髄を損傷したと認められる症状がある者
上腕又は前腕骨折で合併症がある者
大腿又は下腿を骨折した者
14日以上入院を要する障害があり、30日以上の医師の治療が必要な者
- 以下の障害を受けた者1人につき20万円
脊柱を骨折した者
上腕又は前腕を骨折した者
内臓破裂した者
入院を要する傷害があり、30日以上の医師の治療を必要とする者
14日以上の入院を必要とする者
- 11日以上の医師の治療を要する傷害を受けた者1人につき5万円