後遺障害の等級認定|交通事故で脊柱(背骨)の奇形や骨折が生じた場合
交通事故によって、脊柱(背骨)に著しい奇形が生じたり、機能障害を起こしたりしてしまうことがあります。もちろんこの場合も等級認定の対象となっています。
その他にも、体幹骨(身体軸にある骨格の軸骨格)に後遺障害が残ってしまう場合、骨折についても完治しないようであれば等級認定の対象となっています。
今回は、上記した脊柱、体幹骨、骨折の後遺障害の等級認定についてご紹介します。
脊柱の後遺障害と等級認定
脊柱に後遺障害が残った場合の等級認定は下記のとおりです。
- 第6級5号 脊柱に著しい奇形、または運動障害を残した
- 第8級2号 脊柱に運動障害を残した
- 第11級7号 脊柱に変形を残した
なお、ここでいう脊柱の著しい奇形とは、圧迫骨折などによって脊柱が湾曲した状態をいい、前方椎体高と後方椎体高のずれを見ながら判断をします。このずれ具合によっては、著しい奇形と判断されないこともあり、その場合は第8級が準用されることになっています。
単に圧迫骨折のみが見られる場合や、脊柱固定術が施された場合は、単に脊柱の変形と判断されます。ただし、頸部(頭部と胸部の中間)と腰に補装具が必要になってしまった場合は、上記と同様、第8級が準用されることになります。こういった細かい判断はケースバイケースになるため、医師と相談しながら、より適正な等級認定が受けられるように進めていきましょう。
体幹骨の後遺障害と等級認定
体幹骨に後遺障害が残った場合の等級認定は下記のとおりです。
- 第12級5号 鎖骨、胸骨、肋骨、骨盤骨に著しい変形を残した
鎖骨を骨折した場合、変形治癒が等級認定の対象になることがあります。たとえば、鎖骨を骨折すると、あまり手術が選択されることはなく、装具によって一定期間保存することによって治癒を目指します。しかし、稀に骨折部分がきれいにくっついてくれず、変形して治癒してしまうことがあるのです。この変形によっては、裸体になったときに目立つことがあり、あからさまにわかるようであれば等級認定は12級にされることがあります。ただし、レントゲンで変形が見られる程度では等級認定の対象にはなりません。
その他に、助骨が上記と同様になった場合、または切除となった場合、対象となった肋骨が2本あったとしても、1つの障害として評価される点には注意しましょう。
また、骨盤骨を骨折すると、股関節に機能障害を及ぼすことがあります。特に女性の場合、産道狭窄になってしまい、お産時に影響が生じることもあります。この場合で、骨盤骨の骨折は原則として12級となっていますが、さらに重い後遺障害が認定されることもあるため注意が必要です。
骨折にもいくつか種類がある
上記にて骨折について触れていますが、骨折にもいくつか種類があります。下記にて簡単にまとめてみました。
- 完全骨折 完全に折れてしまっている状態
- 不完全骨折 ひびがはいっている状態
- 単純骨折 皮膚の中で起きた骨折
- 複雑骨折 皮膚の外(骨が皮膚から出てる)に及ぶ骨折
- 複合骨折 骨が細かく砕けている状態(程度により粉砕骨折とも)
- 剥離骨折 じん帯や腱に付着している骨がはがれる状態